甲斐駒ヶ岳をテント泊で登ろうと思ってる?正直に言っておきたいことがある
こんにちは、どらいちです。
先週末、South Alpsの仲間グループで甲斐駒ヶ岳の話題が出た。「テント泊なら北沢峠ルートが初心者向けらしいよ」って意見が多くて、ちょっと複雑な気分になった。
確かに、南アルプスの中では整備が良くて、ルート上に避難小屋もある。でもな、「初心者向け」ってのは結構危険な言い方だと思う。俺が実際に北沢峠ルートでテント泊したときの失敗と、そこから学んだことを話したい。
南アルプスはスケールがでかいんだ。北アルプスで燕岳をやったから大丈夫だろ、くらいの気持ちで行くと後悔する。俺がまさにそれだった。
北沢峠ルートって何が待ってるのか、まず現実を知ろう

甲斐駒ヶ岳の北沢峠ルートは、北沢峠(標高2,000m)からスタートして、駒岩小屋経由で山頂(2,967m)を目指すコース。総行程は1泊2日で、距離的には燕岳→常念岳の縦走より短い。だから「初心者向け」なんて言われるんだろう。
でも待ってくれ。距離が短い=簡単じゃない。これ、登山11年の俺の実感だ。
北沢峠ルートの最大の特徴は、標高差がひたすら大きいこと。北沢峠から駒岩小屋まで約950m、そこから山頂まで約330m。1日目だけで標高差1,000m近くを登ることになる。燕岳のときは1,500mの標高差をかけて2日間で登ったけど、甲斐駒ヶ岳は最初の日で一気に上がるんだ。
加えて、南アルプスの縦走ルートは想像以上に歩きが長い。地図で見ると距離は短そうでも、実際に歩くと「えっ、まだ着かないの?」ってなる。これ、仙丈ヶ岳でも感じたけど、南アルプスあるあるだと思う。
そして、これが一番大事なんだけど、北沢峠までのアクセスが結構面倒。愛知県から行くなら、最低でも前夜に山梨県に入るか、朝4時に名古屋を出発する必要がある。子どもが生まれてからは行けなくなったけど、当時は「こんなアクセス、ちょっと覚悟が必要だな」って思った。
1日目の行動時間、予想よりずっと長いって覚悟しといたほうがいい
北沢峠から駒岩小屋までの行動時間。ガイドブックには「3時間30分~4時間」って書いてある。俺も最初はそれを信じてた。
実際は、4時間30分かかった。そして、その時点で脚がもう疲れてた。
理由は3つ。
まず、北沢峠からの最初の登りが想像以上にきつい。ここはジグザグの登山道で、段数が多い。標高は低いけど、標高差を稼ぐための道だから、脚に来る。早朝スタートだから涼しいけど、この登りで既に心拍数が上がる。
次に、駒岩小屋周辺の岩場が思ったより複雑。ロープが張ってある部分もあるけど、「え、ここ本当にテント泊コースなの?」って感じの段差がある。テント背負ってると、ちょっとした段差でバランス崩しやすい。
そして何より、途中の水場を過ぎてから駒岩小屋までが長い。地図上では短く見えるけど、実際には岩場が続いて、歩を進めるのに時間がかかる。仙丈ヶ岳のときも似たような感覚があったけど、南アルプスは標高が高い割に景色の変化が急だから、距離感が狂いやすいんだ。
「1日目はそんなに歩かないし、明日の山頂アタックに体力を残しておこう」って考えてる人、それは甘い。1日目で既に脚は疲れてる。テント泊は2泊目、3泊目と続く縦走とは違うけど、それでも翌朝の山頂アタックは想像以上にハードになる。
駒岩小屋周辺のテント場、風とのスペースをなめるな
駒岩小屋はテント泊の拠点になる小屋で、その周辺にテント場がある。ここで2泊するのが標準的なプラン。
テント場自体は広い。でも「広い=快適」とは限らない。俺が泊まったときは、生憎の悪天候で、風がえらいことになってた。テント場は稜線の近くだから、風がそのまま吹き込む。テント選び、ペグ打ちの深さ、向きの設定が全部大事になる。
ぶっちゃけ、テント泊デビューでここに来るのは難しい。スペースがあっても、風対策に気を遣う必要があるし、夜間に突然の雨が降ったら避難小屋に逃げ込む判断も必要。初心者は「テント場がある=安心」って考えちゃうけど、それは南アルプスでは通用しない。
あと、駒岩小屋の水場までの距離も意外と遠い。テント場からは5分くらいだけど、朝の冷え込んだときに何度も往復するのは結構つらい。テント泊の装備にコッヘルを持ってくのは当たり前だけど、水運びの手間を舐めると初日から疲弊する。
2日目の山頂アタック、思ったより息切れする
2日目は駒岩小屋から山頂を目指す。行動時間は「1時間30分~2時間」って書いてある。これも、実際は違う。
駒岩小屋から山頂までは、標高差330mだから「あっという間だろう」って思う人が多い。でもな、この道が想像以上にきつい。理由は、1日目で既に疲れてるから。
2,500m以上の高さで、脚が疲れた状態での登りは、別世界だ。富士山(富士宮ルート)で経験した「高度と疲労の相乗効果」が、ここでも起こる。標高差は小さくても、息がすぐに上がる。ペースが落ちる。
加えて、駒岩小屋から山頂への最後のルートは、岩場がごつごつしてる。景色は最高だけど、足を置く位置を選ぶ必要がある。疲れた脚でそれをやると、行動時間は2時間30分~3時間になる。
山頂からの下りは、その疲れた脚で駒岩小屋まで戻り、そこからさらに北沢峠まで下る。このトータルの下りが、実は1日目の上りより時間がかかることもある。靴擦れが出始めるのもここ。俺は木曽駒ヶ岳での靴擦れが忘れられないから、自分の足に合う靴選びは本当に重視してるんだ。
北沢峠へのアクセス、時間と費用をなめるな
甲斐駒ヶ岳の最大の課題の一つが、北沢峠へのアクセス。公共交通を使うなら、南アルプス登山バスで行くしかない。時間帯は限られてるし、季節によって運行本数が変わる。
愛知県からだと、夜中のうちに山梨県に入るか、朝4時に出発するかのどちらか。往復の時間を入れると、実質2日間の山行で、家を出ている時間は3日間近くになる。
子どもが生まれてからは、こういう時間的制約が本当に大きくなった。「山に行くなら家族との時間を無視するしかない」って状況になると、嫁の「また山なの?」っていう言葉の重みが増す。
コスト的にも、バス代と駐車場代で往復かなり必要。テント泊は「日帰りより時間がかかるから効率がいい」って思うけど、南アルプスは距離があるから、実は移動コストがバカにならない。
でも、甲斐駒ヶ岳は本当に登る価値がある山だ
ここまでネガティブなことばっかり言ってきたけど、甲斐駒ヶ岳は絶対に登る価値がある。
山頂からの景色は、北アルプスとは全く違う。南アルプスの稜線は、北アルプスほど緻密ではなく、もっとダイナミックだ。富士山も見える。天気が良ければ、視界が本当に広い。
そして、駒岩小屋周辺の高山植物も素晴らしい。8月に行ったときは、コマクサがまだ咲いてた。岩場の中で咲く小さな花を見てると、「この山のために何時間も歩いてよかった」って思う。
何より、テント泊で泊まること自体が、日帰りでは味わえない経験になる。朝焼けを見たとき、星空を見たとき、「あぁ、山に泊まってるんだ」っていう実感が湧く。これは言葉にしづらいけど、テント泊を何度もやってる俺にとって、最大の理由だ。
初めてのテント泊ならどうするか、正直な話
「甲斐駒ヶ岳でテント泊をしたいけど、初めてだから心配」って人は、正直に言おう。いきなり甲斐駒ヶ岳は難しい。
まずは、燕岳のテント泊をやってみてほしい。北アルプスの方が、高さの割にアクセスが良いし、山小屋の援助も受けやすい。失敗のリスクが小さい。俺も28歳のときに燕岳でテント泊デビューして、そこで失敗した(銀マット忘れて一晩眠れなかった)けど、救われたのは山小屋の存在だった。
テント泊に慣れてから、次のステップで甲斐駒ヶ岳を目指すくらいの気持ちでちょうどいい。
それでも甲斐駒ヶ岳に行きたいってなら、覚悟を持ってほしい。1日目の標高差、2日目の疲労、アクセスの手間、全部を受け入れた上で登ってほしい。そういう準備ができてる人なら、甲斐駒ヶ岳のテント泊は最高の経験になる。
最後に、これからも甲斐駒ヶ岳には行きたい
正直に話して、甲斐駒ヶ岳は「気軽なテント泊」ではない。でも、だからこそ登る価値がある。
今、子どもが小さいから、もう数年は甲斐駒ヶ岳に行けないと思う。でも、子どもが少し大きくなって、一緒に山に登れるようになったら、また挑戦してみたい。その時には、今回の失敗が生きてくるはずだ。
南アルプスは、北アルプスとは違うスケール感がある。そこにテントを張って、朝焼けと星空を見る。それを経験すると、登山の奥深さが本当に理解できる。
甲斐駒ヶ岳は、そういう山だ。
登山歴10年以上・30代会社員パパ
テント泊縦走が大好きな30代の会社員パパ。週末に家族と過ごしながら、月1〜2回のペースで登山を継続中。10年以上の経験をもとに、登山初心者が失敗しないための情報を発信しています。

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